高血圧予防と血圧管理

更年期高血圧の治し方は?原因と漢方療法を徹底解説

はじめに

目的

本資料は、更年期に生じる高血圧について、原因・特徴・治療法をわかりやすくまとめることを目的としています。専門的な言葉をできるだけ使わず、日常でできる対策や医師と相談すべきポイントを具体的に示します。

想定する読者

更年期を迎えた女性とその家族、または医療情報を知りたい一般の方を想定しています。高血圧をすでに指摘された方だけでなく、生活習慣を見直したい方にも役立ちます。

本資料で扱う主な内容

  • 更年期高血圧の特徴:なぜ更年期に血圧が上がりやすいかを、ホルモンの変化や自律神経、塩分の影響など具体例を交えて説明します。
  • 原因の考え方:生活習慣や体重増加、睡眠やストレスの影響をわかりやすく解説します。
  • 治療法:薬に頼る場合とまず試す生活改善(食事、運動、禁煙・節酒、睡眠改善)の両方を取り上げます。
  • 漢方医学的アプローチ:体質に合わせた考え方や、使われることの多い漢方の例を紹介します。

読み方のポイント

症状や生活習慣は人それぞれです。ここでの説明は一般的な指針ですので、気になる点は早めに医師や専門家に相談してください。次章から、順を追って詳しく見ていきます。

更年期高血圧とは

定義

更年期高血圧は、閉経前後に女性ホルモン(エストロゲン)が急に減ることで起こりやすくなる血圧の上昇を指します。これまで血圧が安定していた人でも、更年期に差し掛かると上がることがあります。

通常の高血圧との違い

一般的な高血圧は年齢や塩分、遺伝などが主な要因ですが、更年期高血圧はホルモン変化が大きな役割を果たします。血管の柔軟性が低下しやすく、短期間で変動することが特徴です。

誰に起こりやすいか

50歳前後の閉経期の女性に多く見られます。体重増加、運動不足、睡眠不足があるとリスクが高まります。例として、夜間のほてりや不眠が続く人は要注意です。

主な症状と気づき方

自覚症状は出ないことも多いですが、頭痛、めまい、動悸、肩こりや疲れやすさを感じる場合があります。家庭での血圧測定を習慣にすると早めに気づけます。

なぜ注意が必要か

更年期高血圧は心臓病や脳卒中のリスクを高めます。放置すると問題が進みやすいので、定期的な測定と医師との相談が大切です。

診断と経過観察のポイント

診断は複数回の血圧測定で行います。家庭血圧と医療機関での測定を両方行い、変動の有無を確認します。生活習慣の見直しと経過観察で管理します。

更年期高血圧の原因

更年期高血圧は一つの要因だけで起こることは少なく、いくつかが重なって血圧を上げます。ここでは主な原因を分かりやすく説明します。

エストロゲンの減少と血管の変化

エストロゲンは血管を柔らかく保つ働きがあります。更年期でエストロゲンが減ると血管が硬くなり、収縮しやすくなって血圧が上がります。イメージとしては、柔らかいホースが硬くなると水の流れが圧力を受けやすくなると考えてください。

自律神経の乱れ(交感神経の亢進)

更年期は自律神経のバランスが崩れやすく、特に交感神経が優位になることがあります。交感神経が働くと心拍数や血管の収縮が強くなり、血圧が上がりやすくなります。ホットフラッシュ(ほてり)や不眠があると血圧が変動しやすくなります。

食塩感受性の増加と体重増加

年齢やホルモン変化で塩分に敏感になる人が増えます。同じ塩分量でも血圧が上がりやすくなるため、普段の食事の見直しが必要です。また、運動量の減少や代謝低下で体重が増えると血圧はさらに上がります。

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)の亢進

このホルモン系が活発になると血管が収縮し、体が水分をため込もうとします。結果として血圧が上昇します。更年期の変化が間接的にこの系に影響を与えることがあります。

その他の要因(生活習慣・薬剤など)

ストレスや飲酒、睡眠不足、運動不足は血圧を悪化させます。市販薬や一部の処方薬も血圧に影響することがあるため、医師に相談してください。

これらの要因は重なって働くことが多いです。しかし、生活習慣の改善や適切な医療で多くの場合コントロールできます。

治療方法

更年期高血圧の治療は「非薬物療法」と「薬物療法」に分かれます。日常生活でできる対策をまず試し、効果が不十分なら薬物を併用します。

非薬物療法(生活習慣の見直し)

  • 減塩:目安は食塩1日6g程度を目標に、調味料や加工食品を控えます。味付けはハーブや酢で工夫します。
  • 体重管理:体重を5%減らすだけでも血圧が下がることがあります。無理のないペースで減量します。
  • 運動習慣:有酸素運動を週に中強度で150分程度(例:速歩30分×5日)を目安に行います。筋力トレーニングも補助になります。
  • 睡眠とストレス管理:十分な睡眠(目安7時間)と深呼吸や趣味での気分転換を心がけます。
  • 血圧測定の習慣化:家で朝晩に測り、記録して医師に見せます。
  • イソフラボン摂取:豆腐や納豆、豆乳などを適量に取り入れます。過剰摂取は避けます。

薬物療法

  • ACE阻害薬:血管を広げて負担を減らしますが、咳が出ることがあります。
  • ARB:ACE阻害薬と似た効果で副作用が少ない場合があります。
  • カルシウム拮抗薬:血管を拡げ、手足のむくみが出ることがあります。
  • 利尿薬:体内の余分な水分を出し血圧を下げます。電解質のチェックが必要です。

薬は個人の状態に合わせて選び、腎機能や薬の相互作用を確認しながら調整します。ホルモン補充療法(HRT)を用いる場合は血圧への影響を含めて医師とよく相談してください。定期的に診察・検査を受け、指示どおりに服薬することが大切です。

漢方医学的アプローチ

漢方の見立て

漢方では更年期高血圧を「瘀血(おけつ)」「気滞(きたい)・気虚(ききょ)」のいずれか、またはその混在と考えます。瘀血は血の流れの滞り、気滞はイライラや胸のつかえ、気虚は疲れやすさや不眠を伴います。血圧の変動はこれらのバランスの崩れとして捉えます。

主な漢方薬と適応の目安

  • 加味逍遥散:イライラや情緒不安定が強く、のぼせや肩こりがある方に向きます。気の巡りを整え、緊張を和らげます。具体例:急にイライラして血圧が上がる方。
  • 八味地黄丸:疲れやすく下半身が冷える、倦怠感やめまいがある方に適します。体を温め、元気を補います。
  • 大柴胡湯:消化不良や便秘、胸のつかえが強く、怒りっぽい方に用います。熱や瘀血の要素があるときに役立ちます。

生活面の漢方的配慮

体を冷やさないことが基本です。温かい飲み物や根菜類を取り入れ、腹部や腰を冷やさない服装を心がけます。軽い運動(散歩やヨガ)で気の流れを良くし、十分な睡眠で気を補います。

注意点

漢方は体質や既往歴で効果が変わります。現在の血圧治療薬との相互作用や副作用の可能性があるため、必ず医師や漢方専門医に相談してください。血圧は定期的に測定し、変化があれば速やかに医療機関を受診してください。

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