高血圧予防と血圧管理

DHA・EPAが血圧下がる理由と効果をわかりやすく解説

はじめに

概要

本書は、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)というオメガ3脂肪酸が、血圧にどのように影響するかをわかりやすく解説するために作成しました。学術的な根拠と、毎日の食事やサプリで実践できる情報を両面からお伝えします。

誰に向けた内容か

主に中高年の方、血圧が気になる方、健康維持に関心のある方を想定しています。家族の健康を支えたい方や、食事で改善を目指す方にも役立つ内容です。

本書の構成と読み方

第2章以降で、DHA・EPAの基礎知識、血圧を下げる仕組み、科学的データ、摂取の実践法と注意点を順に説明します。専門用語は最小限にし、具体例を交えて解説しますので、順番に読んでいただくと理解しやすいです。

注意事項

本書は一般的な情報提供を目的としています。治療や薬の変更は必ず医師と相談してください。

DHA・EPAとは?基礎知識

1. 基本の説明

DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸の仲間です。体内で作りにくいため、食事やサプリで補う必要があります。魚油のほか、一部の藻(もしくは藻由来のサプリ)にも含まれます。

2. DHAとEPAの違い(簡単に)

  • DHA:脳や神経の組織に多く存在します。記憶や神経の働きをサポートすると考えられています。例として赤ちゃんの脳の発達にも重要です。
  • EPA:血液や血管に作用しやすく、血行や炎症の調整に関わるとされています。血液の流れを保つ役割が期待されます。

3. 主な働き(分かりやすく)

どちらも細胞膜の構成成分になり、細胞の働きを整えます。DHAは情報伝達、EPAは血液の状態や血管の健康に寄与すると覚えてください。

4. どこから摂れるか・補助食品

代表的な食品はサバ、イワシ、サンマ、サケ、マグロなどの青魚です。毎日魚を食べにくい場合は、魚油や藻由来のサプリで補えます。サプリを選ぶ際は、DHA/EPAの含有量を確認してください。

DHA・EPAが血圧を下げるメカニズム

血管の柔軟性を高める

DHAは血管壁の細胞膜に取り込まれ、膜を柔らかくします。膜が柔らかくなると血管がしなやかに伸び縮みしやすくなり、血圧の急な上昇を抑えます。例えば寒さで血管が収縮しにくくなるイメージです。

一酸化窒素(NO)と血管拡張

EPAとDHAは血管の内側にある細胞(内皮細胞)から一酸化窒素(NO)の産生を促します。NOは血管をゆるめる働きがあり、血管が広がることで血圧が下がります。わかりやすく言えば、NOが“血管のブレーキをゆるめる”役割を果たします。

血液の流れを改善する(血小板と血栓)

EPAは血小板の凝集を抑えて血液をサラサラに保ちます。血が固まりにくくなるため血栓ができにくく、血流がスムーズになり血圧上昇のリスクが減ります。

脂質を整えて動脈硬化を防ぐ

DHA・EPAは中性脂肪や悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを増やします。これにより血管の内壁に脂がたまりにくくなり、長期的に動脈硬化や高血圧の予防につながります。

科学的根拠と効果の実数値

臨床研究の結果

臨床試験やメタ解析では、EPA・DHAを1日あたり約2〜3g摂取すると血圧が平均でおよそ3〜4mmHg低下する報告があります。特に収縮期(上の値)の低下が目立ち、もともと高めの人ほど効果が出やすい傾向です。効果は中程度ですが、心血管イベントのリスク低下につながると考えられます。

具体的な摂取量と食品例

目安となる摂取量は1日2〜3gです。食品例で分かりやすく示します。
- さんま(100g): EPA 850mg、DHA 1600mg → 合計約2.45g。さんま100gで目安量に達します。
- さば・さけ・あじなどの青魚: 種類により差はありますが、100gあたり合計でおおむね1〜2g程度のことが多く、2〜3gにするには100〜200g程度が目安になります。
日常では、週に数回青魚を食べるか、必要に応じてサプリを併用すると実現しやすいです。

ガイドラインの位置づけ

厚生労働省をはじめ海外のガイドラインでも、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)の摂取は心血管疾患や高血圧リスク低減の観点から推奨されています。まずは食事からの摂取を基本とし、個々の状況で補助的にサプリを用いる選択が認められています。

(補足)摂取量や効果の現れ方は個人差があります。薬を服用中の方や出血傾向のある方は医師に相談してください。

どんな人におすすめ?どんな食材から摂れる?

  • おすすめの人

高血圧や動脈硬化の予防・改善を目指す方に特に向きます。心血管疾患のリスクが気になる中高年や、塩分や油を取り過ぎがちな食生活の方にもおすすめです。また、魚をあまり食べない方は意識して摂ると良いでしょう。

  • 主な食材と目安量

  • 青魚(さんま、さば、あじ、さけ、まぐろ)

  • 効率よくDHA・EPAを摂れます。目安は週に2回程度、1回あたり約100g前後が実行しやすい量です。
  • 貝・その他の魚
  • あさりやイワシなども含みます。種類を変えて摂ると良いです。
  • 植物由来(亜麻仁、チアシード、えごま)
  • ALAという別の脂肪酸が含まれ、体内で一部がDHA・EPAに変わりますが、変換率は低めです。ベジタリアンの方の補助になります。

  • 食べ方のコツ

焼く・蒸すなど油を控えた調理で栄養が残りやすいです。刺身や焼き魚でシンプルに食べると吸収が良くなります。揚げ物はカロリーが増えるため頻度は控えめにしましょう。

  • サプリメントについて

食事で十分に摂れない場合はサプリメントで補えます。商品によってEPAとDHAの配合や品質が異なるため、成分表示を確認し、持病や薬を服用中の方は医師に相談してください。

摂取時の注意点・副作用

過剰摂取による影響

DHA・EPAを過剰にとると、出血傾向(鼻血や止血しにくい)や下痢、腹部の不快感など消化器症状が出ることがあります。目安量を超える大量摂取は避けてください。市販のサプリは規定量を守ることが大切です。

薬との併用に関する注意

降圧剤や抗血小板薬(血をサラサラにする薬)と併用すると、血圧が下がりすぎたり出血リスクが高まる場合があります。既に薬を服用している方は、自己判断で増量せず医師や薬剤師に相談してください。

アレルギー・体質差

魚アレルギーのある方はDHA・EPA含有食品やサプリでアレルギー反応が出る可能性があります。また個人差で消化しにくい人もいます。体調に変化があれば摂取を中止し医療機関を受診してください。

安全な摂取のコツ

  • まず食品(青魚)から無理なく摂る
  • サプリは指示量を守る
  • 妊婦・授乳中、手術前後は医師に相談
    異常を感じたら早めに専門家に相談しましょう。

まとめ:DHA・EPAで血圧を下げて健康維持

要点の振り返り

DHA・EPAは血圧を下げる働きが科学的に示されています。日常的に青魚(サバ、イワシ、サンマなど)を取り入れることで、無理なく摂取できます。

実践のポイント

  • 目安:週に2〜3回、青魚を食事に取り入れると続けやすいです。
  • 食事優先:まずは食事から摂ることをおすすめします。脂の乗った魚を焼く、煮る、缶詰を活用するなど工夫してください。
  • サプリメント:食事で足りない場合は医師や薬剤師と相談して利用します。

他の生活習慣との組み合わせ

DHA・EPAだけでなく、塩分管理、野菜中心の食事、適度な運動を組み合わせると効果が高まります。

注意点

抗血栓薬を服用中の方や出血傾向のある方は、摂取量について必ず医師に相談してください。過剰摂取は避けます。

最後に一言:日々の食事で少しずつDHA・EPAを取り入れ、バランスの良い生活習慣を続けることで、血圧管理と心血管の健康維持につながります。

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