高血圧予防と血圧管理

健康診断で血圧を2回測定する理由とどっちを採用すべきか

はじめに

本資料は、健康診断や家庭で行う血圧測定において、2回測定した場合の値の記録と採用方法を分かりやすく解説します。

目的

  • 血圧は1回だけでは正確に把握しにくく、測定直後は緊張で高めに出ることがあります。日内変動もあるため、2回測定して平均などを用いることが推奨されます。
  • 本資料では、2回目の測定の取り扱いや、両方の値を記録する意義、実際の測定手順や健康診断での公式な扱いについて順を追って説明します。

想定する読者

家庭で血圧を測る方、職場や健診で測定を受ける方、医療関係者や介護者まで幅広く役立つ内容です。

本書の読み方

次章で「なぜ2回測定するか」を詳しく解説し、続く章で記録方法や公式ルール、測定時の具体的なポイントを示します。まずは落ち着いて測ることが大切ですので、その心構えを大切にしてください。

血圧を2回測定する理由

なぜ2回測るのか

血圧はその場の緊張や体の動きで変わりやすいです。例えば診察室では緊張して高めに出ることがあり、これを「白衣高血圧」と呼びます。1回だけだと、普段の値とかけ離れていることがあります。

主な理由(わかりやすく)

  • 1回目は緊張や体動の影響を受けやすい
  • 日内変動が大きく、時間や活動で上下する
  • 測定誤差(機器や腕の位置など)を補える

具体例:最初が145/90、2回目が135/85なら平均を取ると約140/87で、単独の値より実情に近くなります。

簡単な実用ポイント

短時間(1〜2分)落ち着いて座り、同じ腕で2回測るだけで精度が上がります。繰り返し測って平均をとると、日々の変動や測定誤差の影響を減らせます。

2回測定した場合の記録・採用方法

概説

医療現場では1回につき2回測定し、平均値を採用することが一般的です。両方の値を記録することで変動の有無が分かり、診療判断に役立ちます。特に測定値が大きく異なる場合は再測定や追加確認を行います。

記録すべき項目

  • 両方の測定値(収縮期/拡張期をそれぞれ)
  • 平均値(収縮期と拡張期を別々に平均)
  • 測定時刻、腕(右・左)、姿勢(座位・臥位など)
  • 使用した測定機器や特記事項(会話の有無、直前の運動など)

平均値の計算方法と例

収縮期と拡張期をそれぞれ平均します。例:1回目140/90、2回目130/86なら
- 収縮期(140+130)÷2=135 mmHg
- 拡張期(90+86)÷2=88 mmHg
記録は四捨五入して整数mmHgにすることが多いです。

値が大きく異なる場合の対応

収縮期で10mmHg以上の差や拡張期で5〜10mmHgの差があるときは再測定を検討します。再測定で安定しない場合は自宅測定や24時間血圧計での評価を提案します。

実務上の注意点

一部では低い方の値を採用する場合もありますが、標準は平均値です。医療機関や健診のルールに従い、両方の値を残しておくと後の判断で役立ちます。記録は簡潔に、必要な情報を漏らさず付け加えてください。

健康診断での公式な採用方法

概要

健康診断では、血圧のばらつきを減らすために、同じ条件で2回測定し、その平均値を公式の血圧値として扱う方法が主流です。測定間隔は1〜2分程度とされ、短時間での変動を抑えます。

なぜ平均を使うのか

血圧は環境や緊張、姿勢で変わります。1回の測定だけだと一時的な高値や低値に左右されやすく、平均を取ることでより安定した値を得られます。

実際の手順(簡潔)

  • 受診者は5分程度安静にしてから座位で測定します。腕は心臓の高さに置きます。
  • 1回目を測定し、1〜2分後に2回目を測定します。
  • その2回の平均値を公式記録とします。

異なる値が出た場合の扱い

測定値に大きな差がある場合、健診の実施者は追加で測定することがあります。多くの現場では、2回目と3回目の値が安定していればそれらの平均を用いるなどのルールを採ります。施設の基準に従って判断します。

記録と受診者への説明

健診結果には、測定した各値と採用した平均値を記載すると親切です。1回の高値に過剰に反応せず、日常の平均や再検査の必要性を説明することが大切です。

血圧測定時の具体的な手順とポイント

準備

・測定は朝と夜、毎日ほぼ同じ時間に行うと傾向が分かりやすくなります。上腕式血圧計を用意してください。
・測定前は1~2分安静にし、座ったまま呼吸を整えます。立ち上がった直後や運動後は避けます。トイレを済ませ、喫煙や飲食は測定直前に行わないでください。

測定手順(簡潔)

  1. 椅子に背筋を伸ばして座り、足は床にしっかりつけます。脚を組まないでください。
  2. 上腕にカフを巻きます。カフの下端が肘の約2〜3cm上になるようにし、ゆるすぎずきつすぎない状態にします。
  3. 腕は心臓と同じ高さに置き、腕は台や枕で支えて安定させます。
  4. 血圧計を作動させ、測定中は話さず動かさないでください。
  5. 同じ条件で2回測定し、間隔は1分程度あけます。

測定中の注意点

・測定直前に会話やスマホ操作をしないでください。姿勢が崩れると値が変わります。
・夜と朝で体の状態が違うため、必ず時間帯をそろえて測定してください。

記録と活用

・用紙やアプリに2回の値と平均値を記入します。平均を医師に伝えると診断や薬の調整に役立ちます。
・異常に高い・低い値が続く場合はメモを添え、早めに医療機関に相談してください。

よくある疑問と回答

以下は、2回測定や測定結果に関するよくある疑問とその答えです。分かりやすく整理しました。

  • Q: 2回の数値が大きく違ったらどうする?
    A: まずもう一度測り直してください。測定の間は1〜2分ほど安静にして腕を心臓の高さに戻します。差が残る場合は再測定を複数回行い、平均値を採用するのが一般的です。単に低い方だけを記録することはおすすめしません。

  • Q: 時間がないときは1回でいいですか?
    A: 1回でも測定は可能です。ただし、正確さを高めるために2回測るのが理想です。可能なら2回目を取って平均を出してください。

  • Q: 高い方と低い方、どちらを記録する?
    A: 標準は平均値です。健康診断や家庭での継続記録でも平均を残すと診断や経過観察に役立ちます。

  • Q: 健康診断で高かった(白衣高血圧)場合は?
    A: 一回の高値だけで判断せず、家庭で朝晩数日間測った平均値を医師に見せてください。家庭血圧の傾向を把握することが大切です。

  • Q: 測定結果に不安があるときは?
    A: 継続して高値が出る場合は医師に相談してください。生活習慣の見直しや必要な検査を勧められます。測定の記録を持参すると話がスムーズです。

小さな注意点として、測定前の激しい運動や喫煙、カフェイン摂取は数値を上げることがあります。測定時の状況もメモしておくと原因の特定に役立ちます。

まとめ

血圧測定は、1回の測定で2回行い、両方の値を記録したうえで平均値を採用する方法が理想です。これにより偶発的な変動や測定ミスの影響を減らせます。

実務的なポイント

  • 測定手順は統一する:測定前は安静(座って1〜5分)、同じ腕、同じ姿勢で行ってください。
  • 2回の間隔は短く(1〜2分程度)とります。両方の値を必ず記録します。
  • 平均の算出:収縮期(上の数値)は2回の平均、拡張期(下の数値)も同様に平均します。
  • 大きな差がある場合:収縮期でおおむね10mmHg以上、拡張期で5mmHg以上の差があるときは再測定を検討してください。

家庭や健康診断での活用

家庭血圧を継続的に記録すると、医師の診断と治療方針の決定に役立ちます。記録には日付・時間・使用した腕・姿勢・測定機器を添えておくとより正確です。測定結果は紙の手帳やアプリで保管し、受診時に持参してください。

最後に、測定は習慣にすることが大切です。定期的に正しい方法で続けることで、早期発見や管理につながります。ご不明な点は医師や薬剤師に相談してください。

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