目次
はじめに
健康診断で「血圧150mmHg」と言われると、不安に思われる方も多いと思います。本記事は、血圧150mmHgがどのような意味を持つのか、どんなリスクがあるのか、そしてまず何をすべきかを分かりやすく説明することを目的としています。
- なぜこの章が大切か:健康診断の数字は生活や将来の病気と深く関わります。早めに理解して対処することで、合併症の予防につながります。
- この記事の流れ:基準と判定、リスク、日常でできる対応策、医療機関を受診する目安、年齢や個人差の考え方、具体的な生活習慣まで順に解説します。
まず覚えておいてほしい点は、血圧は1回の測定だけで決めつけるものではないことです。状況によって上下しますので、複数回の測定や日常の記録が大切です。本章では全体の概要を示しますが、詳しい対処は次章以降で丁寧に説明します。
健康診断で「血圧150」とは?基準と判定
血圧150は何を意味するか
健康診断で「血圧150」と言われた場合、多くは上の血圧(収縮期血圧)が150mmHgという意味です。上は心臓が血液を押し出すときの圧力で、数値が高いと心臓や血管に負担がかかります。例として「150/85mmHg」のように上下で表すことが多いです。
日本の判定基準
- 診察室血圧(病院・診療所で測る):140/90mmHg以上を高血圧の目安とします。
- 家庭血圧(自宅で測る):135/85mmHg以上を高血圧の目安とします。
このため、診察で150mmHgは基準を超えており、高めと判断されます。
1回の測定だけで確定しない理由
血圧は緊張や運動、時間帯で変わります。診察室では緊張で一時的に上がることがあり「白衣高血圧」と呼びます。ですから健康診断の1回だけで確定せず、複数回の測定が必要です。
どのように測り直すか
家庭で朝・夜に安静にして測り、7日間ほど記録する方法が一般的です。測定は同じ条件(座って1〜2分休む、カフは心臓と同じ高さ)で行います。記録例:朝7時 148/82、夜9時 142/80のように日時を残します。
医師に伝えると良い情報
- 健康診断での数値と測定時間
- 家庭での複数回の記録
- 薬の有無、喫煙・飲酒の状況、頭痛や息切れなどの症状
これらがあれば医師はより正確に判断できます。
血圧150mmHgの健康リスク
収縮期血圧(いわゆる「上の血圧」)が150mmHgという状態は、心臓が血液を押し出すときの圧力が高めに保たれていることを意味します。長期間続くと血管や臓器に次のような負担とリスクが生じます。
主なリスク
- 心臓の負担増加:心筋が厚くなりやすく、狭心症や心筋梗塞、心不全のリスクが高まります。
- 脳の血管障害:血管が傷つきやすくなり、脳梗塞や脳出血の危険が増します。
- 腎臓への影響:腎臓の小さな血管がダメージを受け、慢性腎臓病に進行することがあります。
- 視力への影響:網膜の血管が障害され、視力低下や網膜出血が起こる場合があります。
- 動脈硬化の進行:血管の弾力が失われ、将来的に大きな血管疾患につながりやすくなります。
症状の現れ方
高血圧は自覚症状が出にくい病気です。症状が出る場合は、頭痛、めまい、動悸、息切れ、鼻血などが現れることがあります。これらは徐々に出ることが多いです。一方で、急に強い頭痛や胸の痛み、言葉が話せない、片側の手足のしびれなどが出た場合は緊急のサインです。
実生活でのイメージ
例えば毎回の健康診断で血圧が150前後で推移し、そのまま放置すると、数年単位で血管の柔らかさが失われ、心臓や腎臓に負担が蓄積します。早めに気づいて対策を取ることで、こうしたリスクを小さくできます。
血圧150の場合の対応と医療機関の受診目安
まず行うこと(1か月の生活改善)
血圧が150mmHgと出たら、まずは生活習慣の見直しを1か月ほど続けてみましょう。減塩、野菜中心の食事、適度な有酸素運動(速歩30分程度を週にほとんどの日)、体重管理、禁煙、節酒を心がけます。これらは効果が出やすく、すぐ実行できます。
自宅での測定ポイント
朝・起床後(排尿後)と就寝前の1日2回を目安に測定します。測る前は安静に5分間座り、腕は心臓の高さに保ちます。1回で終わらせず、1〜2分間隔で2回測り平均を記録してください。日付・時刻・姿勢・服薬の有無・自覚症状もメモします。
受診の目安
・直ちに受診が望ましい場合:収縮期(上の値)160mmHg以上、拡張期(下の値)100mmHg以上。強い胸痛、息苦しさ、意識障害や視力障害があれば救急受診してください。
・早めに受診を検討:血圧150/90mmHgで1か月の改善が見られない場合。糖尿病や慢性腎臓病、心血管疾患の既往、家族歴がある場合は早めに相談してください。
医療機関での対応
医師は家庭血圧の記録や診察を基に、臨床検査(血液・尿・心電図など)を行います。必要なら薬物療法を始めますが、薬だけでなく生活改善の継続も重要です。定期的な経過観察で治療方針を調整します。
緊急受診のサイン
胸痛、激しい頭痛、ろれつが回らない、片側の麻痺、急な視力低下、呼吸困難が現れたらすぐに救急を受診してください。
年齢や個人差による考慮点
概要
年齢や体の状態で「血圧150mmHg」への対応は変わります。特に75歳以上の高齢者では、若い人と同じ基準や治療が適さないことが多く、個別の判断が重要です。
高齢者(特に75歳以上)の注意点
高齢になると転倒や立ちくらみのリスクが高まり、血圧を過度に下げると日常生活に支障が出ることがあります。筋力低下や脱水、認知機能の低下がある場合は薬の量を慎重に決めます。起立性低血圧の確認や、自宅での血圧測定結果を持参して医師と相談してください。
若年者や基礎疾患のある方の注意点
若い方で150mmHgが続く場合は生活習慣の見直しを強くお勧めします。塩分や体重、運動不足の改善で効果が期待できます。糖尿病や腎臓病、心臓病などがある場合は合併症のリスクが高く、より厳しい目標や薬物療法が検討されます。
日常でできることと医師への相談ポイント
自宅で朝晩の血圧を記録し、めまいや息切れの有無をメモしてください。医師には「目標血圧」「薬を始める基準」「自己測定の目安」「副作用が出たときの対処」を確認しましょう。個人差を踏まえ、無理なく続けられる計画を一緒に作ることが大切です。
血圧が高くなる背景と検査
クリニックでの一時的上昇
健康診断の場で緊張して血圧が高く出ることがあります(白衣高血圧)。まずは家庭で複数回測ることを勧めます。朝と夜に数日間記録すると実情が分かります。
日常の要因
- 食塩の多い食事、過度の飲酒、喫煙、運動不足や肥満で上がりやすくなります。
- 風邪薬の一部、痛み止め、ホルモン剤なども血圧を上げることがあります。服薬中の方は医師や薬剤師に相談してください。
他の病気が隠れている場合
甲状腺の異常(動悸や体重変化がある)、腎臓の病気(むくみや尿の変化)、睡眠時無呼吸症候群(大きないびきや日中の強い眠気)などが原因になることがあります。若い人や治りにくい高血圧では特に注意します。
行われることの多い検査
- 家庭血圧の記録(朝・夜、安静で2回測り平均を記録)
- 24時間血圧計(外来でのホルター式)で日中・夜間の変動を確認
- 血液検査(腎機能、電解質、甲状腺ホルモンなど)と尿検査
- 心電図や必要に応じて心エコー、腎臓の超音波
- 睡眠時無呼吸が疑われれば睡眠検査(簡易検査や精密検査)
いつ追加検査を受けるか
家庭での高値が続く、若年で発症した、薬を使っても下がらない、低カリウムなどの異常がある場合は追加検査を検討します。気になる症状があれば早めに受診してください。
測定は正しい方法で行うと診断と治療がスムーズになります。分からないことがあれば医療機関で相談しましょう。
血圧を下げるための生活習慣と食事
血圧を下げるには、日々の生活習慣の見直しが大切です。ここでは具体的にできることを分かりやすくまとめます。
減塩の具体例
・味付けは塩やしょうゆを控え、出汁や酢、レモン、ハーブで風味を出す。
・加工食品や外食の塩分が高いので、表示を確認して選ぶ。
・調味料を計量し、味見の回数を減らすと自然に塩分が下がります。
バランスの良い食事
・野菜や果物、魚、豆類を意識して摂る。野菜中心の一品を増やすだけでも効果があります。
・揚げ物や脂の多い肉は控えめにし、焼く・蒸す調理を増やす。
適度な運動
・ウォーキングは1日合計30分を目安に、10分×3回でも効果があります。
・軽い筋トレやストレッチを週2回程度取り入れると基礎代謝が上がります。
禁煙・節酒
・喫煙は血圧を上げるので禁煙をおすすめします。禁煙外来やサポートを利用すると成功率が上がります。
・お酒は量を控え、休肝日を作ると血圧管理に役立ちます。
適正体重の維持
・体重を少し減らすだけでも血圧は下がります。無理なダイエットは避け、食事改善と運動でゆっくり減らすことが安全です。
ストレス管理
・深呼吸や軽い散歩、趣味の時間を持つことが効果的です。十分な睡眠も血圧を整えます。
日常の工夫とチェック
・家庭用血圧計で朝晩の測定を習慣化し、記録をつけると変化に気づきやすくなります。
・小さな改善を続けることが大切です。心配な点は医師に相談してください。
まとめ:健康診断で血圧150mmHgと言われたら
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意味と安心点
血圧150mmHgは高めの値(高血圧の範囲)に入りますが、直ちに命の危険がある数値とは限りません。ただ放置すると将来の心血管リスクが高まるため、早めの対策が大切です。 -
まず自宅でできること
1) 深呼吸して5分安静に座り、改めて測り直してください。2) 測定は同じ腕・同じ姿勢で行い、記録を残すと医師に伝えやすくなります。 -
生活改善の目安
塩分を控える、運動(週に中強度の有酸素運動を目安)を増やす、体重管理、禁煙と節酒を心がけてください。1か月ほど続けても改善がなければ受診を検討してください。 -
受診のタイミング
めまい・胸の痛み・息苦しさ・目のかすみなどの症状がある場合や、記録で繰り返し高値が続く場合は早めに医療機関を受診してください。既往症や家族歴がある方は速やかに相談しましょう。 -
緊急の目安
血圧が180mmHg以上、または重い自覚症状がある場合は救急受診が必要です。 -
継続的な管理のすすめ
定期的に測定して記録を続け、必要なら医師と治療方針を決めてください。生活習慣の改善は確実に効果を発揮しますので、無理なく続けることが大切です。